「選択の科学」という本が話題になっています。
著者はコロンビア大学ビジネススクールのシーナ・アイエンガー教授。
「選択」の研究の最高権威とされる彼女は、「ジャムの法則」の実証者として、米国のマーケティング界では知られた存在であるそうです。
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784163733500
ジャムの法則とは何か、出版元である文芸春秋社の著書紹介では、以下のように紹介されています。
「ジャムの法則」は、アイエンガー教授が、ドレーガーズという高級スーパーマーケットを舞台に、1995年に行った実験で、「豊富な選択肢は売り上げをあげる」というお店の方針を実証しようとするものでした。
ところが、結果は逆、24種類のジャムを売り場に並べたときと、6種類のジャムを売り場に並べたときでは、前者は、後者の売り上げの10分の1しかなかったのです。
この結果が実証的に確かめられると、金融商品のバリエーションから、洗剤などの消費財、はては、コンサル会社のコンサルの方法まで、選択肢を絞ることで、顧客満足をあげるというふうに変わっていったのでした。
「豊富な選択肢は、売上増に貢献しない。
選択肢を絞ることで、顧客満足を上げる方法がある」
この指摘は、物流の世界でコスト削減をミッションとして奉職する者として、まさに、快哉を叫びたい内容です。
アイテムが多すぎること、豊富な選択肢を用意して少量多頻度の補充をもとめる顧客の要求に応えなければならないこと。
これがどれだけ物流の効率を下げ、負荷を大きくしていることか。
物流ABCは多頻度少量出荷の非効率を「コスト」で切り出して、見える化する技法です。
ここで発信できるメッセージは、「こんなにコストをかけても、お客さんの要望に応えるのは採算の合うことですか?合わないなら、やめるべきではないですか?」という問いかけが限界でした。
お客さんの要望に応えることは、実はお客さんのためにはならない場合がある。
いつでもどこでも、いるだけすぐに届けますというサービスは、お客さんの商品管理の緊迫性を削ぎ、結果的として管理能力を退化させてしまったという事態が多発しているからだ。
顧客のニーズにこたえることに懸命になるあまり、顧客をスポイルし、ダメにしてしまうのだ。
持論としてこのような考えは持っていましたが、実証までは至っていませんでした。
以下、回を分けて、アイエンガー教授の実証とその科学的根拠を紹介していきます。


「物流ABCでつくる20の図版」で、1枚ずつ、具体的に説明していきます。(毎週更新)
2012年08月20日
「ジャム」の法則 〜「選択の科学(シーナ・アイエンガー)」より
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